しまうまダイアリー

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【リサーチ】リファラル採用サービスを調べてみた(国内編)

こんばんは。 すっかり季節は秋めいて、あっという間に時間が過ぎていくのを感じてます。

さて近年、HR Techのサービスが乱立しているようで、HR領域を17カテゴリーに分け、540ものサービスを紹介した記事がすこし話題になっていました。

www.capterra.com

その中でもRecruitingの領域で、Refferal Recruiting(リファラル採用)について、国内サービスもそれなりに出てきたので、素人ながら調べてみようかなと思います。

リファラル採用とは

リファラル採用とは、簡単に言うと「社員による知人紹介から社員を採用すること」 社員のコネクションやつながりを活かして、採用を促進していく採用手法です。

http://www.jil.go.jp/institute/reports/2015/images/0175_01.png

*出展:厚生労働省「雇用動向調査結果」(2012)から独立行政法人 労働政策研究・研修機構が作成したもの

調べるまで気がつかなかったんですが、転職市場において縁故の割合が意外と多く、レッドオーシャンの求人媒体・エージェントの市場で取りきれていない 縁故市場のパイをどう人材業界がとっていくかが次のターゲットなのかもしれません。

トレンドや詳しいメリットは、下記記事をご覧いただければと思います。

now-or-never.jp

実際にいま働いている会社ではリファラルな採用が多く、社員のノリの会う人を紹介するからか、個人的にはチームにフィットしやすい人が入社されているイメージがあります。

事前に求めている人物像を共有していれば、紹介する社員自身が社内の雰囲気や状況を知ってることもあってか、求人媒体からの応募者の方々より確度の高い人が紹介されるようです。

なんでサービス化できたのか

そもそも「リファラル採用がサービスパッケージとしてでてきた背景」を少し整理してみます。

社員に知り合いを紹介してもらうのであれば、社内(あるいは各事業部)でその旨を呼びかけて、それぞれに紹介してもらうことも実際行えるかと思います。 また、Wantedlyはじめ社員による求人の拡散だって、個々のコネクションに対して十分、告知の効果があります。

これらのサービスは、導入にあたりどういったメリットがあるのでしょうか?

リファラル採用は、協力的な社員が多いほど採用候補者が多くなり、その中からより優秀な人材を選択することが可能です。 しかし、普通は協力のインセンティブもないですし、誰かやってくれるかなと全員の協力が得られ辛いのが現実。

そこを後押しし、多くの社員に協力してもらうよう、紹介しやすいフォーマットを作ったり、貢献度を測ってインセンティブ設計を作りやすくした点がサービス導入に至った背景にありそうです。

また、人事が各メンバーの貢献度を見てリマインドを促したり、実際に誰が誰を紹介したかなどをトラッキングするのを人力で行うのは非常に労力がかかります。 そうしたサポートを効率的に行うのも、このサービス導入のメリットとして、あがりそうです。


リファラル採用支援サービスまとめ

2015年10月3日現在、国内で上がっているサービスは以下に。

Refcome - Combinator

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Refcomeは、Combinatorから8月に公開されたサービス。 現在は一部ユーザーにα版を開放し、β版への事前登録をオープンにしている状況です。(β版公開時期は未定。)

サービス概要は、下記のとおり。

  • 募集ポジションの社内共有
  • 採用数の目標設定
  • リファラル採用の導入コンサル

課金形態始め、料金プランは現在、不明です。

refcome.com

MyRefer - INTELLIGENCE

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MyRefer*1は、インテリジェンスが9月に公開したサービス。 すでに公開されているようで、無料会員登録を行っている模様です。

https://www.inte.co.jp/news/2015inte/img/20150915_02_01.jpg

*出展:intelligenceリリースより

サービス概要は見た限り、

  • 社員個別のマイページを発行
  • 社員情報の一括取り込み・登録依頼
  • マルチデバイスで利用でき、友人から紹介依頼をキャッチできるツールを提供
  • リクルーターの活動状況をトラッキング、課題分析ができる人事システム
  • 推薦コメントとともに候補者情報を管理、効率よく選考管理

となっています。

プランは下記の通り。求人原稿ベース+サポート部分での課金形態。

フリープラン ベーシックプラン
料金 無料 6万円/月(半年) or 5万円/月(1年)
募集可能原稿 3つまで 10こまで
掲載期間・閲覧可能応募 無制限 無制限
CS お問い合わせ対応 専任担当サポート
オプション × ⚪︎

オプションはおそらく、担当が付いているということから導入コンサルとかでしょうか。

i-myrefer.jp

GLOVER Refer/HR - Recruit Career

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GLOVER Referはリクルートキャリアが昨年10月にリリースしたサービス。

正式なリリースは今年9月。β版として50社の導入実績があり、実績企業の1社としてLIGさんが自社メディア内で効果リポートされています。

liginc.co.jp

今後、タレントプール(TP)や応募者管理システム(ATS)などの企業が主体的に優秀な候補者を探し、応募につなげ、採用するための各種ツールを開発・提供していく予定です。

サービス概要・料金形態はわかりませんでしたが、リファラル採用のオペレーションを効率化するツールをRefcome, MyReferと同じように提供していく上で、機能拡張を行うようです。

gloverhr.com


ざっくり見てみて

サービス自体はほとんどβ版提供で比較できるほどの情報がないんですが、調べて感じたことをいくつか。

どこで儲けるのか

課金モデルが明確に出ているMy Refferをみると、Wantedlyと同じように応募求人数が上限を超えると課金されるモデルが主になりそうです。

契約者は、当社から許諾されたリクルーター数を超えない範囲内で、リクルーターに対しリクルーター専用アカウントを設定することができます。

ただ、My Referの利用規約に上記のように記載されていることからも、リクルーター(=社員数)が多い企業に関しては、登録社員一人当たりの課金など別の課金形式もあり得そうかなと。

ここからは個人の意見ですが、訴求が割と求人媒体よりもコスト安で確度の高い(=組織にマッチしやすい)人材を取れるとしており、Recruitingの領域では媒体ほどの儲けが出なさそうかなと。

むしろ、個々の企業の採用候補者DBとしてTalent Poolツールのサービス利用料をとっていき、採用された人の傾向を分析して自動で3rd Partyデータ*2から採用者に近しい人物像の人材をレコメンドするAgentシステムとかやりそう*3かなと思いました。

媒体/エージェントサービス提供企業の参入

インテリジェンス、リクルートキャリアといった求人メディアや転職エージェントを抱えている企業でも、既存事業と喰い合う部分があるにも関わらず、サービスリリースに踏み切ったのは驚きました。

上記のような僕の妄想だと、営業面でコスト安の訴求が刺さる部分から求人媒体と競合し、長期的にAgentとも競合する可能性もあるためエージェント系サービスをやっている企業だと、現場からの猛烈な反対を受けそうかなと。

「それでもやるんじゃ」と現場と経営陣を抑え、こうした大手(特に業界トップのリクルートキャリア)が出てきたのは、非常に驚きです。 現場とカニバる可能性がある分、現場の営業力を駆使したパワープレイはしづらい状況下*4ではありますが、儲けのラインが閾値を越えれば地方営業含め、パワープレイを駆使した営業ができる恐ろしさがあります。

今後、combinater以外にもスタートアップから新規のサービスインがあるのか、動向を見ていきたいですね。

サービスの差別化

サービス提供サイドの感想/考察の次は、ユーザーサイドからサービスの比較をまとめる上で、「サービスをどこで差別化するか」を考えてみます。

現段階では基本的に「リファラル採用を全社的に行いやすくするインフラサービス」として、小さなサービス内容の差異(募集可能原稿枠の上限、社員情報の一斉CSV入稿の可否 etc)はあれど、大枠でのサービスパッケージの違いはなさそうだなというのが所感です。

そのため、現状の差異は非常にわかりやすく、

  • 課金形態や価格
  • 成功事例の多さ*5
  • リクルーター/候補者管理のUX*6

かなと思ってます。

また、上記のようにTP/ATSなどの拡張性も長期的なサービス利用において非常に強みとなるため、私見としてはGLOVER Referが強そうかなあと。

導入企業の利用者が増えて、彼らがアクティブに採用活動すればするほど、このサービスを利用する候補者がストックされていくため、候補者向けのマーケティングが不要なのも大きなところですね。

まとめ

  • リファラル採用は、転職市場内の媒体成約者でなく「縁故」での成約者を狙って、市場シェアを独占しようとしている
  • 媒体よりコスト安で提供する分、マネタイズポイントをDB/マッチング部分においた方が儲かりそう
  • 現状、サービスの差別化ポイントが少ない分、価格/実例ベースでの導入促進が直近の戦術になりそう

*1:インドにMy Refersってサービスがあるのですが、名前的に被ってるなあと。。検索的にどうなんだろう。

*2:ここではリファラルツールより各企業で紹介され、他の企業へのレコメンドを許可している人材を想定

*3:もちろん、"採用者に近しい人物像"と判断する要素が何かの分析と、それらが個別具体的ではなく汎用的に有意であるかの検証に時間がかかりそうなので、レコメンドが難しいところではありますが。

*4:とはいっても、現場と経営陣を抑えられた企画者はかなり現場で力を持った元敏腕営業マンな気もするので、元々担当していた企業の人事にヒアリングしたり、デモ導入してもらったり、構造的優位性はありそう。

*5:サクセスさせている事例が多いほど、サポートも手厚くなるので。

*6:ここでは人事が意思決定者なので、人事目線で使いやすいシステムが選ばれるのでは。